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ワークフローの添付ファイルは、欄をどこまで分けるか

ワークフローの添付ファイルは、欄をどこまで分けるか

ワークフローの添付ファイルは、欄をいくつに分ければいいのか

ワークフローの申請フォームに、添付ファイルの欄が1つだけ置いてある。見積書も、仕様書も、図面も、参考資料も、まとめてそこに入る形です。紙で回していたころは関係する資料をクリップで束ねて1件として扱っていたため、画面でも同じ形に見えます。

ただし紙の束と違って、画面の欄はいくつ置くかを先に決めないと公開できません。決めかねたまま、1つのまま公開することになります。

規程で必須の資料が決まっている書式なら、そこは分けておこうと判断がつきます。困るのはその先です。見積書と仕様書を分けたとして、3つ目の欄を割る理由が見当たらない。

理由が見当たらないのは、その理由が申請の時点にはまだ現れていないためです。本記事では、欄を分ける理由を、現れる時点で並べ直します。

ワークフローの添付ファイルは、欄をいくつに分ければいいのですか

分ける理由は、現れる時点で2つに割れます。申請の時点から見えている理由と、決裁が下りたあとに出てくる理由です。前者だけを見ているうちは、欄は1つか2つで足ります。

ワークフローの添付ファイルとは、申請の内容を裏づける資料を、申請と一緒に、決裁した時点の状態のまま保管し、必要な相手だけが後から取り出せるようにする仕組みです。

本記事では、次の1件を通し例として使います。生産技術部から上がってきた検査装置の入れ替え稟議。金額は1,800万円で、添付は見積書、メーカーの仕様書、設置場所の図面の3点。経路は課長、部長、工場長、経理の4段です。

分ける理由を、現れる時点で並べると次のようになります。

現れる時点

分ける理由

検査装置の稟議では

申請の時点

規程で必ず出させる資料がある

相見積を2社分そろえる決まりがある

申請の時点

段によって開く資料が違う

経理が見るのは見積書の金額と支払条件だけ

申請の時点

最初から機密と分かっている

この稟議には該当しない

決裁のあと

後続の処理が対象を見分ける

見積書を発注書の帳票に差し込む

決裁のあと

決裁した時点の版を動かさない

図面が据付の都合で改訂される

決裁のあと

数年後に条件で探して取り出す

税務や監査で見積書を求められる

上の3行は、フォームを作っている最中に見えています。必須にしたい資料があるから欄を割る、という判断はここで付きます。

ただし、上の3行が要求する欄の数は多くありません。 機密の資料が付かない書式なら、相見積の欄とそれ以外で2つです。理由が3つ並んでいても、そのすべてが欄を1つずつ要求するわけではないためです。

申請の時点だけを見て決めた数の、その先を割る理由は下の3行から出てきます。そして下の3行は、フォームを作っている時点では誰の目にも入っていません。設計の場で落ちやすいのは、理由が現れる時期が遅いためです。

添付の欄を分ける6つの理由を、申請の時点から見えている3つと決裁が下りたあとに現れる3つに分けて時間軸に並べた図

添付の上限に当たった申請者は、どうしますか

分割する、圧縮する、共有ドライブのリンクを貼る、の3つです。3つ目だけ、決裁の根拠が申請の外に出ます。

検査装置の図面は、1枚のPDFで60MBありました。添付しようとして、上限に弾かれます。このとき申請者が取れる手は、おおむね次の3つです。

  1. ページを分けて複数のファイルにする
  2. 解像度を落として軽くする
  3. 共有ドライブに置いて、そのリンクを本文に貼る

上の2つは、添付の中に残ります。3つ目だけ、決裁の根拠が申請の外に出ます。

リンク先のファイルは、リンク先の都合で入れ替わります。フォルダの整理で移動することもあります。決裁のときに開いた図面と、半年後に同じリンクから開く図面が同じである保証は、ワークフローの側にはありません。

しかも、リンクを貼る判断をしているのは申請者です。上限に当たったその場でいちばん手早い方法を選んでいるだけで、証跡の話をしているつもりはありません。管理する側の画面には、この選択が残りません。

添付が上限に弾かれたときに取れる3つの手のうち、共有ドライブのリンクだけが決裁の根拠を申請の外に出すことを示した図

なお、取引先から紙で受け取った書類をスキャンして添付しているなら、解像度を落とす前に保存の要件を確かめておく必要があります。読み取った書類を保存するときの決まりは、別に置かれています。

選定の場で「添付の上限は何MBか」と聞けば、答えは数字で返ってきます。ここで差はつきません。差が出るのは一段下です。

  • 1ファイルあたりの上限なのか、1申請あたりの合計なのか
  • 上限を書式ごとに変えられるのか、全社で1つなのか
  • 上限に当たったとき、申請者の画面に何が出るのか

比較表の項目がそのまま○で揃ってしまう領域については、ワークフローシステムを選ぶ前に押さえておきたいポイント。比較表の○が揃ってしまう4つの領域で別途整理しています。

後続の処理は、どのファイルを取ればいいと分かるのですか

見分ける手段は大きく3つです。ファイル名の規約、添付の行ごとに種別を選ばせる形、欄そのものを分ける形。どれを選んでも見分けはつきます。違いは、崩れ方と、申請者に増える手数のどちらに寄せるかです。

検査装置の稟議に戻ります。決裁が下りたあと、3点のうち後続の処理が取りに来るのは見積書だけでした。発注書の帳票に金額と取引先を差し込み、購買のシステムへ渡します。仕様書と図面は、決裁のあとに機械が開くことはありません。

そして機械は、3点まとめて渡されても困ります。「この申請の、この1ファイル」を特定できないと動きません。 見分ける手段が要るのはここです。

ファイル名の規約でやる場合、「見積_日付_取引先.pdf」のような形を決めることになります。運用を始めた直後は守られますが、しばらくすると元の水準に戻ります。年に数回しか使わない書式ほど、前に書いたときの形式が引き継がれにくくなります。

添付を明細の行として持てる製品なら、行ごとに「見積書」「仕様書」「その他」を選ばせる形が取れます。後続の処理はその区分で拾えるため、欄を割らずに見分けがつきます。ただし選び間違いが起きる余地は残ります。自由に打つ文字列よりは崩れにくい、という違いです。

欄そのものを分けると、機械から見た迷いはなくなります。代わりに、申請者は入れる場所を考えることになります。増えた欄の数だけ、申請1件あたりの手数が増えます。

後続の処理にファイルを見分けさせる3つの手段を、申請1件あたりの手数と機械から見た確実性の2軸に置いて対比した図

書式が変われば、後続に渡るものも変わります。契約書を電子契約サービスに回すのは、稟議ではなく、決裁のあとに別に起票する押印や契約締結の申請です。そちらでは、欄ごとに添付できるファイルの数を縛れるかどうかが効いてきます。押印に回す書類の欄に3枚入っていると、後続の処理はどれを使うか決められません。

選定の場では「添付ファイルは使えるか」でも、やはり○が揃います。触って確かめられるのは、添付して開くところまでです。後続の連携や数年後の検索は、30日のトライアルの外側にあります。確かめる対象を層に分けて考える見方は、ワークフローのトライアルは、何を確かめる30日か。検証を3層に分けて設計するで扱っています。

決裁のあとで資料を差し替えると、何が消えるのですか

決裁したときにどの資料を見ていたかが、記録から読めなくなります。分かれ目は、決裁後に添付欄を編集できるかどうかです。

検査装置の例で言えば、据付の都合で図面が1回改訂されます。実績に合わせて最新版を置きたくなるのは自然な動きです。しかし同じ欄に上書きすると、決裁の根拠だったほうの版が残りません。数年後に、部長が承認したのがどちらの図面だったかを確かめる手がかりが消えます。

取れる形は2つです。実績用の欄を別に設けて古い版を残すか、決裁が下りた時点で添付欄を編集できないようにするか。どちらも運用の注意で後から吸収できる話ではなく、フォームの設計そのものです。

決裁の内容とその後の実績を同じ欄に載せないという線引きは、金額の欄でも同じ形で出てきます。購買の申請をどこで区切るかという論点は、購買ワークフローをどこで区切るか。稟議・発注・検収・支払で触れています。

添付だけ見せたくない申請では、何が起きますか

閲覧の権限を持つ単位は、多くの製品で申請です。添付ファイルだけを別の範囲にする設定は、標準では持たないことがあります。

健康診断の結果、取引先の与信情報、個人の処遇に関わる資料。申請そのものは所属長まで見えていいが添付は人事だけ、という要求は実務で出てきます。

添付だけを絞れないと、選べるのは申請ごと絞るか、書式を分けるかになります。

申請ごと絞ると、経路に立っている人まで見えなくなる場面が出ます。承認はできるが中身は読めない、という状態は運用として持ちにくくなります。書式を分ければ閲覧範囲は狭く持てますが、書式が増えた分だけ、申請者はどれを使うか迷います。

どちらの負担が重いかは、機密の資料が付く申請が全体のどのくらいを占めるかで分かれます。

欄を決める前に、何を確かめますか

聞く相手で分かれます。

社内で確かめること

  1. 添付が付く申請のうち、決裁後に他のシステムや外部サービスへ渡るものはどれか
  2. 稟議の添付を、税務や監査で提示する資料として位置づけているか(文書管理規程に書かれていることが多い)
  3. 申請は見せて添付だけ見せたくない書式が、実際にいくつあるか

選定先に確かめること

  1. 添付の欄を複数置けるか、欄ごとにファイル数の上限を決められるか
  2. 決裁が下りたあとに編集できる欄を、欄ごとに制限できるか
  3. 添付の上限は1ファイル単位か申請単位か、書式ごとに変えられるか

なお、欄をいくつ置けるか、決裁後に編集を止められるかは製品の仕様として調べられますが、申請者がいくつまでの欄を埋めるかは、日々申請を出している側でないと量れません。欄を4つに割った結果、参考資料の欄に全部まとめて入れられてしまえば、分けた意味はなくなります。

検査装置の稟議は、最終的に欄をいくつに分けますか

3つです。申請の時点だけで決めていれば2つで終わっていた書式が、決裁後の理由で1つ増えます。

通し例の検査装置の入れ替え稟議に戻ります。添付は見積書、仕様書、図面の3点でした。

申請の時点で見えている理由は2つ。相見積の決まりと、段によって開く資料が違うことです。ただし経理が開くのは見積書だけなので、この段のために新しく欄を割るまでもありません。相見積の欄が、そのまま経理の見る欄になります。理由が1つあれば欄が1つ増える、という数え方にはなりません。

結果として、申請の時点だけを見れば、見積書の欄とその他の欄の2つで足りていました。

決裁のあとを追いかけると、3点の行き先が違います。

  • 見積書:発注書の帳票に差し込まれ、数年後に税務で求められる可能性もある
  • 仕様書:決裁が下りたあとに誰かが取りに来ることがほとんどない
  • 図面:据付を頼む工事業者に渡り、しかも改訂される前提で動く

その他の欄に仕様書と図面をまとめると、どちらかに合わせた扱いがもう一方に掛かります。決裁後の編集を止めれば図面が更新できず、開けておけば仕様書まで動かせる状態になります。

したがってこの書式では、図面を独立した欄に出して改訂を許し、見積書の欄は決裁後の編集を止め、仕様書はその他の欄に残す。欄は3つになります。この1つは、後から気づいても足しにくい欄でした。

同じ生産技術部から上がる消耗品の定期購入なら、様相が変わります。添付は見積書1枚だけ。後続の連携はなく、改訂もされない。相見積の決まりも金額の基準を下回るため掛かりません。この書式で欄を3つに割っても、2つは空のまま回ります。空欄の多い申請フォームは、申請者にとって、どれかを入れ忘れているかもしれないという不安になります。

同じ部署から上がる申請でも、欄の数は揃いません。揃えるべきなのは欄の数ではなく、決裁が下りたあとに誰が取りに来るかを、書式ごとに一度確かめる手順のほうです。

まとめ

添付ファイルの欄をいくつ置くかが決まらないのは、判断の材料の半分が申請の時点に無いためです。

規程で必須の資料を出させたい、段によって開く資料が違う。ここまでは設計の場で見えていて、要求される欄は多くありません。それ以上を割る理由は、決裁が下りたあとから出てきます。

  • 決裁後に出てくる理由は3つ。後続の処理が対象を見分ける、決裁した時点の版を動かさない、数年後に条件で探して取り出す
  • 上限に当たった申請者が共有ドライブのリンクを貼ると、決裁の根拠が申請の外に出て、後から入れ替わりうる状態になる
  • 後続の処理に見分けさせる手段は3つ。ファイル名の規約は使用頻度の低い書式から崩れ、行ごとの区分は欄を割らずに済み、欄を割ると申請の手数が増える
  • 決裁後に同じ欄を上書きできると、どの版で決裁したのかが記録から読めなくなる
  • 欄を増やすほど申請1件あたりの手数が増えるため、全書式を一律に割る必要はない

書式ごとに、決裁の後で誰が取りに来るかを並べる。それだけで、欄の数のほうが後から出てきます。

よくある質問

添付ファイルは、ワークフローと文書管理システムのどちらに置きますか

企業によって分かれます。分かれ目は、その資料を探すときの入口が申請番号なのか、取引先や契約名なのかです。稟議の根拠として申請から辿るものはワークフロー側に、契約書の原本のように単独で探す必要があるものは文書管理側に置く、という分け方があります。両方に同じファイルが存在する状態をどう扱うかは、先に決めておく必要があります。

電子帳簿保存法の対象になるのは、稟議の添付のどれですか

添付を2段で分けると見当が付きます。1段目は、取引先とやり取りした書類か、社内で作った文書か。稟議書そのものや社内で作成した仕様書は、電子帳簿保存法が定める保存の対象ではありません。2段目は、その書類を電子で受け取ったか、紙で受け取ってスキャンしたかです。電子で受け取った見積書や請求書は電子取引として、紙をスキャンしたものはスキャナ保存として、それぞれ別の要件が置かれています。電子取引に当たるものについては、取引年月日や取引金額や取引先で探せるかが論点になりますが、規模や状況によって扱いが変わります。自社がどれに当たるかは、税務の担当と突き合わせて判断してください。

運用を始めたあとで、添付の欄を増やせますか

欄そのものは足せることが多いのですが、過去の申請の扱いが分かれます。すでに決裁が下りた申請の添付が、新しく作った欄に自動で振り分けられることはありません。古い申請では、その他の欄に3点入ったままの状態が残ります。過去分をさかのぼって直すのか、ある時点から先だけ新しい形にするのかは、監査で過去何年分を遡って見るかによって判断が変わります。切り替えた日付を書式の説明に残しておくと、後任の担当者が読み解けます。

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