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関連当事者取引を稟議で拾う判定の置き場所

関連当事者取引を稟議で拾う判定の置き場所

こんにちは。シンプルなのに多機能で圧倒的に使いやすい、クラウドワークフロー「kickflow」のメディア運営チームです。

「関連当事者取引に当たる契約を、稟議の段階で拾いたい。でも、金額で分けた承認経路では素通りしてしまう」
上場準備を進めるコーポレート部で、こうした声が出ることがあります。承認経路は金額と申請の種類で分かれていても、取引の相手方が役員とどうつながっているかは、申請画面のどこにも載っていないためです。

相手方が関連当事者かどうかは、役員や主要株主の関係をまとめた名簿と照らせば判定できます。一方で、その名簿や判定の結果を誰に知られてよいかによって、判定を置ける場所は変わります。そこで今回は、関連当事者の判定を稟議のどこに置くかの3つの場所と、取引先ごとの判定を経路に写す組み方を解説します。

この記事の要点

  • 関連当事者取引は、金額ではなく取引の相手方で確認の要否が決まります。金額で分けた経路だけでは、決裁基準の内側にある取引を拾えません。
  • 判定を置ける場所は、申請者の申告、取引先の登録時の判定、名簿を持つ部門の確認の3つです。選ぶときは、判定の結果を申請者に知られてよいかから考えます。
  • 取引先の登録時の判定を経路に写す組み方は、判定を経路の分岐の条件に持つ方法と、取引先マスタの区分の欄に持つ方法の2つです。後者では、申請者が区分で取引先の一覧まで引けます。
  • 名簿が変わって設定を直しても、出し終えた稟議の経路は変わらず、拾い直しの手順は組み方で違います。決裁まで進んだ稟議は、事後の確認しかできません。

関連当事者取引が金額の経路を通り抜ける仕組み

金額と申請の種類で分けた承認経路では、決裁基準の内側にある関連当事者取引が、ほかの取引と同じ承認者で決裁されます。経路を分ける条件のどこにも、取引の相手方が誰とつながっているかが入っていないためです。

関連当事者取引とは、会社と、その親会社や子会社、役員や主要株主とその近親者(二親等内の親族)、それらの人が議決権の過半数を持つ会社などとのあいだの取引です。開示の対象になる関連当事者の範囲は、財務諸表等規則第8条第17項が定めています(2026年10月時点)。

稟議で拾う範囲を開示の範囲より広げる会社もあり、どこまで拾うかは規程を持つ部門が決めます。自社の取引がどこまで当たるかの判断は、監査法人や顧問の会計士に確かめる事項です。

例えば、総務部が出すオフィス家具の購入稟議です。金額は180万円で、決裁基準では部長決裁の範囲に入ります。購入先は、ある取締役の配偶者が議決権の過半数を持ち、代表も務める会社です。この稟議は金額の分岐で部長決裁の経路に入り、関連当事者取引を確認する担当を通らないまま決裁されます。

起案した担当者は、購入先の株主が取締役の配偶者だと知らないことがあります。役員の近親者がどこに出資し、どこで役職に就いているかは本人に聞かなければ分からず、その名簿はコーポレート部(以下、名簿を持つ部門)の中にしかないためです。承認する部長も同じ情報を持っていません。どちらかの見落としではなく、判定に要る情報が申請画面に届いていないことが、素通りの原因です。

相談の場で、役員の家族などが関わる取引先を申請の段階で拾い、金額の基準に届かなくても承認者を上げられないかと聞かれたことがあります。その場で私が挙げられたのは、判定は別の仕組みで行い、結果を稟議に添付して確かめた記録にする形まででした。承認者を上げる仕組みについては、社内で確かめると持ち帰りました。

関連当事者の判定を置く3つの場所

判定を置ける場所は、申請者の申告、取引先の登録時の判定、名簿を持つ部門の確認の3つです。場所ごとに、誰がいつ判定し、判定の結果が誰に伝わるかが変わります。

関連当事者の判定を、取引先の登録時、稟議の起案時、承認時の3つの時点に置いた場合の、判定する人と判定が伝わる人を並べた図

判定の場所

誰がいつ判定するか

判定の結果が伝わる人

拾えない取引

申請者の申告

起案する担当者が、稟議ごとに

申請者と承認者

申請者が関係を知らない取引

取引先の登録時の判定

名簿を持つ部門が、取引先の登録時に

設定の管理権限を持つ人。経路が変わるため、選んだ取引先の判定は申請者にも伝わる

判定の済んでいない取引先との取引

名簿を持つ部門の確認

名簿を持つ部門が、稟議ごとに

名簿を持つ部門の中だけ

名簿に載っていない関係(ほかの2つも同じ)

申請者の申告は、フォームに「関連当事者との取引に当たるか」を選ぶ欄を置き、その値で経路を分ける方法です。選択欄の値で経路を分ける設定は、ワークフローの経路の分岐で組めます。欄は、初期値を置かずに回答を必須にできる型にします(初期値が必ず入る型だと、選び直さずに出した稟議が「該当しない」になるためです)。通し例の購入先は、担当者が株主の家族関係を知らなければ「該当しない」で出てきます。

取引先の登録時の判定は、取引先を登録するときに名簿を持つ部門が判定し、その結果を経路の設定やマスタに写す方法です。稟議では申請者が取引先をマスタから選ぶだけで、名簿は見ません。新しい取引先は、登録の申請を別のワークフローにして、名簿を持つ部門が判定してからマスタに入れると、判定の済んでいない取引先が稟議に出てきません。

名簿を持つ部門の確認は、すべての稟議に、名簿を持つ部門の確認のステップを置く方法です。マスタに無い取引先も拾えるかわりに、関連当事者と関係のない稟議にもステップが1つ増え、決裁までの時間が延びます。確認した記録の添付も、この確認の残し方の1つです。添付やコメントを申請者も見られる製品で判定を知られたくなければ、稟議には確認した日だけを書き、照合の結果は名簿を持つ部門の記録に残します。

3つは排他ではなく、組み合わせると拾えない取引が減ります。マスタに「未登録の取引先」というアイテムを置き、通し例の購入稟議に当てると、流れは次のようになります。

  • 購入先がマスタにあり、登録時の判定で「該当」なら、申請した時点の経路に名簿を持つ部門の確認のステップが入る
  • 購入先がマスタに無ければ「未登録の取引先」を選ぶため、同じ確認のステップが入る
  • 申告欄に「分からない」の選択肢も置き、「該当する」か「分からない」を選んだ稟議も同じステップに回す
  • どれにも当たらない稟議は、金額の経路どおり部長決裁で終わる

判定を分岐の条件に持つなら、条件は「取引先が該当分か未登録、または申告が『該当する』か『分からない』」かつ「金額の区分」です。ANDとORを混ぜて書けない製品では、ORでつないだ項目ごと、金額の区分ごとに分岐を作るため、分岐の数は掛け算で増えます。条件の数に上限がある製品では、未登録と申告の値もその数に入り、並べられる取引先が減ります。

組み合わせても、判定が申請者に伝わる稟議は残ります。未登録の取引先や「分からない」と申告した稟議には、ステップが紛れます。一方、登録済みの取引先で「該当しない」と申告した稟議では、ステップが現れたことで判定が伝わります。

金額の基準に届かない取引で承認者を上げたいという問いに対して、ここまでの組み方が足すのは確認のステップです。該当用の経路で決裁者そのものを上げるか、確認だけを足すかは、規程を持つ部門が決めます。決裁権限規程に関連当事者取引の承認者を書き足すなら、その1行が経路のどこに写るかは決裁権限規程の1行は、ワークフローの4か所に分かれるで整理しています。

取引先ごとの判定を経路に写す2つの組み方

取引先の登録時の判定を経路に写す組み方は2つあります。判定をワークフローの経路の分岐の条件に持つ方法と、取引先マスタの区分の欄に持つ方法です。違いは、申請者に判定がどこまで伝わるかと、名簿が変わったときに直す場所に出ます。

判定を分岐の条件に持つ組み方とマスタの区分の欄に持つ組み方で、どちらも選んだ取引先の判定が申請者に伝わることを示した図

組み方

設定の場所

名簿が変わったときに直す場所

判定を分岐の条件に持つ

ワークフローの経路の分岐。条件に、関連当事者に当たる取引先を1件ずつ指定する。マスタには区分を置かない

ワークフローの分岐の条件

判定をマスタの区分の欄に持つ

マスタの区分を自動計算で取り出し、確認のステップの実行条件に使う。フォームの入力値を実行条件に使える製品(契約)に限る

マスタの区分の欄

判定を分岐の条件に持つ方法では、条件に合った分岐の経路が丸ごと選ばれます。条件に合う分岐が複数あるときに並び順で先頭の分岐が当たる製品では、関連当事者の分岐を金額の分岐より上に置き、その経路にも金額ごとの承認者を入れておきます。金額の区分ごとに該当用の経路を持つため、保守する経路の数が増えます。

判定をマスタの区分の欄に持つ方法では、区分をフォームの欄に取り出すため、申請画面にも区分が表示されます。マスタの欄を管理者だけが見られる設定にしていても、自動計算やマスタの選択画面の検索、APIでは値が出る製品があります。その場合、申請者が区分で検索すれば、該当する取引先の一覧が引けます。

区分の欄を閲覧を制限したセクションに置くと、ステップの実行条件からは空の値として扱われる製品もあります。その場合、「該当のとき実行する」と組んだ確認のステップは、該当する取引先でも飛ばされます。

確認のステップの名前は申請者に見えます。ステップ名を「関連当事者取引の確認」にすると判定がそのまま伝わるため、「コーポレート部の確認」のように役割で付けます。

役割で名付けてもステップが現れたこと自体は隠せないため、隠すなら確認のステップをすべての稟議に置きます。

名簿の更新と出し終えた稟議の拾い直し

関連当事者の名簿は期中に変わりますが、設定を直しても、出し終えた稟議(チケット)の経路は変わりません。拾い直しの手順は組み方で違います。

通し例の購入稟議が出たあとで、取締役が名簿に配偶者の会社を書き足したとします。判定を分岐の条件に持つ方法では、分岐の条件を直しても、差し戻しと再申請ではその稟議に新しい分岐が当たらない製品があります。その場合は、差し戻してから複製して再申請するか、新しく申請し直します。

判定をマスタの区分の欄に持つ方法では、マスタから選んだ値が申請の時点で固定されます。再申請で経路を組み直す製品なら、差し戻して取引先を選び直し、区分の欄が「該当」に変わったのを見てから再申請します。ワークフローの分岐と経路で再申請の扱いが違う仕組みは、決裁権限規程の改定、施行日をまたいだ稟議で権限外の決裁が出る条件で扱っています。

関連当事者に固有なのは、名簿に載るまでと設定に反映するまでのあいだに出た稟議を探す手順です。書き足した関係が生じた日より後に出た稟議を取引先の欄で絞り込み、未決裁のものは上の手順で拾い直し、決裁済みのものは事後の確認に回します。

決裁まで進んだ稟議は、どちらの組み方でも経路を引き直せません。通し例の購入稟議が名簿の書き足しより先に決裁されていたら、名簿を持つ部門が事後に確認します。

決裁済みの稟議にはコメントだけ書き足せる製品なら、確かめた日をそこに残します。事前の確認は後から付けられないため、役員からの届け出が名簿に載るまでの日数と、名簿から設定への反映までの日数の両方が、事後の確認になる稟議の数を左右します。届け出をいつ集めるかは、規程を持つ部門が決めます。

まとめ

最初に決めるのは、判定の結果を申請者に知られてよいかです。知られたくないなら名簿を持つ部門の確認が主になり、知られてよいなら、取引先の一覧まで引けてよいかで、判定を分岐の条件に持つか区分の欄に持つかを選びます。

この整理が、関連当事者取引の確認を稟議に組み込むときの手がかりになれば幸いです。

よくある質問

ワークフローを入れれば関連当事者取引は自動で見つかりますか?

自動で経路が変わるのは、判定の済んだ取引先が選ばれた稟議までです。名簿の更新、新しい取引先の判定、マスタにある取引先と同じ相手を別の名前で入力した稟議の発見は、人の確認として残ります。システムが受け持つのは、判定の結果を経路に写すところです。

すでにマスタにある取引先は、いつ名簿と照らせばよいですか?

登録時の判定を始める前に、マスタにある取引先を一度名簿と照らしておくと、判定の済んでいない取引先が残りません。そのあとは、名簿が変わったときに照らし直します。

関連当事者取引の稟議には何を書いてもらえばよいですか?

相手方とのつながり、取引が事業に要る理由、ほかの取引先と比べた条件の3つが、確認する側の判断材料になります。どこまで求めるかは、規程を持つ部門が決めます。

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