ワークフローの兼務で承認者が重なる。どこまでまとめてよいか

こんにちは。シンプルなのに多機能で圧倒的に使いやすい、クラウドワークフロー「kickflow」のメディア運営チームです。
「兼務で、課長のステップと部長のステップに同じ承認者が並んでいる。1つにまとめてよいのか」
後任の課長が決まらないまま部長が課長を兼務すると、こうした相談が情シスに届きます。
役職から承認者を引く経路では、兼務している人が両方のステップに当たるためです。
ステップを1つ外せば、申請者が同じ人を2回待つことはなくなります。
ただ、どちらのステップを外すかで、後から履歴に見える役職が変わります。
そこで今回は、兼務で重なったステップのまとめ方と、兼務が解けたあとに残る設定を解説します。
この記事の要点
- 兼務で同じ人が2つのステップに並ぶのは、役職から承認者を引く経路では設定の誤りではありません。扱い方は、2回押してもらう、先頭のステップを外す、後続のステップを外すの3つです
- 外したステップの承認は、誰からも付きません。ステップがスキップとして画面に残る作りでも、そのステップを誰がいつ確認したかは記録されません
- 外してよいかを決める材料は、外れるステップに規程上の決裁者が入っているかどうかです。金額区分によって入れ替わるため、設定は金額で分けた経路ごとに決めます
- 決裁権限規程に兼務時の条項が無ければ、外すかどうかは規程の所管部門が決めます。決まるまでは、2回押してもらう形で回せます
- ステップを外す設定は、後任が着任しても自動では外れません。戻すときは、兼務前の版ではなく最新の版から条件だけを外します
兼務で承認者が重なる仕組み
兼務で承認者が重なるのは、役職から承認者を引く経路が、兼務している人を両方のステップに当てるためです。
設定の誤りではなく、人事の登録どおりに動いた結果です。
承認者の重複とは、1つの申請の経路に、同じ人が2つ以上のステップの承認者として現れる状態のことです。
ここでいうステップをまとめるとは、重なった2つのステップのどちらかを外すことを指します。
扱うのは、部長が課長を兼ねるような、上位の職位が下位の職位を兼ねる縦の兼務です。
例えば、900名の企業で、4月の異動により営業第二課の課長が本社に移り、後任が決まるまで営業部長が課長を兼務することになりました。
この企業の購買稟議は、決裁権限規程の金額区分に合わせて経路が分かれています。
金額 | 経路 | 規程上の決裁者 | 兼務中の重なり |
|---|---|---|---|
30万円未満 | 課長 | 課長 | なし(課長のステップに営業部長が当たるだけ) |
30万円以上300万円未満 | 課長→部長 | 部長 | 2ステップとも営業部長 |
300万円以上 | 課長→部長→本部長 | 本部長 | 最初の2ステップが営業部長 |
40万円の申請なら、営業部長は同じ申請を課長として1回、部長として1回承認します。
経路が役職を名前で指すか、序列で指すかによって、兼務がどのステップに効くかも変わります。
役職の指し方は役職を足すと動く承認経路。担当部長をどこに置くかで扱っています。
なお兼務中は、営業部長自身が申請すると、課長と部長のステップがどちらも申請者本人になります。
この自己承認の扱いは、規程の繰上げの一文(決裁者が起案者になるときの扱い)で決まる別の論点で、自己承認をどこまで残すか。承認者が自分になる申請で整理しています。
重なったステップを扱う3つの方法
重なったステップの扱いは、2回押してもらう、先頭を外す、後続を外すの3つです。
どれを選ぶかで、後から1件を開いたときに履歴に並ぶ承認が変わります。
ステップを外すのは、申請者の所属や役職を条件に、そのステップを実行しない設定で組めます。
「申請者の所属が営業第二課のときは課長のステップを実行しない」といった形です。
方法 | 40万円の申請の履歴に並ぶ承認 | 引き受けるもの |
|---|---|---|
2回押してもらう | 課長としての承認と、部長としての承認 | 同じ人が同じ申請を2回開く |
先頭(課長)のステップを外す | 部長としての承認だけ | 課長のステップで見ていた確認の記録が付かない |
後続(部長)のステップを外す | 課長としての承認だけ | 規程上の決裁者である部長の承認が付かない |
2回押す手間は、見た目ほど重くない場合があります。
承認待ちの一覧から続けて承認する機能を使うと、同じ申請の次のステップも自分なら、続けて承認するかを尋ねてくる製品もあります。
実行しなかったステップの表示は製品によって違い、経路から丸ごと消える作りと、スキップとして残る作りがあります。
どちらの作りでも、外したステップを誰がいつ確認したかの記録は付きません。
翌年の監査で営業第二課の40万円の稟議が抜かれたとき、並ぶ承認は部長としての1回です。
ステップを外す条件を入れる前に、テスト申請を1件通して、外したステップが経路の表示と操作履歴にどう出るかを見ておくのが確実です。
同じ承認者が続いたときに自動で1回にまとめる設定を持つ製品もあり、その場合は残るのが先頭と後続のどちらのステップかも作りによります。
外さずに2回押してもらう形が向くのは、次のような場合です。
- 兼務が数か月で解ける見込みがある
- 経路を複数の書式で共有していて、条件の効く範囲を絞れない
- 課長のステップしかない金額区分と、経路を分けていない
ステップを外す2つの方法には、記録が付かないことと、設定が後に残ることが付いて回ります。
2回押す手間のほうは、兼務が解ければ消えます。
規程上の決裁者のステップと金額区分
ステップを外してよいかを決める材料は、外れるステップに規程上の決裁者が入っているかどうかです。
同じ兼務、同じ経路でも、金額区分によって答えが入れ替わります。
先に見るのは決裁権限規程です。
規程には、兼務時の扱いを定めた条項が置かれていることがあります。
「上位の職位が下位の職位を兼務する場合、下位の職位の決裁は上位の職位の決裁をもって代える」といった一文です。
この条項があれば、どのステップの承認で足りるかは規程がすでに答えています。
課長のステップを外して部長の承認を残す形が、この条項と対応します。
条項が無ければ、金額区分ごとの重なり方を規程の所管部門に示し、外すかどうかを決めてもらいます。
課長のステップも、規程どおりの承認として経路に置かれているためです。
決まるまでは、2回押してもらう形で回します。
所管部門に持っていく材料は、金額区分ごとの次の3点です。
- 30万円以上300万円未満:決裁者は部長で、重なりの中にいます。後続の部長のステップを外すと、決裁者の承認が付かなくなります
- 300万円以上:決裁者は本部長で、重なりの外にいます。どちらを外しても決裁者の承認は付き、付かなくなるのは手前の確認のステップです
- 30万円未満:経路は課長のステップだけで、決裁者は課長(兼務中は営業部長)です。重なりは無く、外す対象になりません
決裁者が重なりの外にいることは判断の材料になりますが、外してよい根拠そのものではありません。
30万円未満の経路に同じ条件を付けると承認者が1人もいない経路になるため、条件は金額で分けた経路ごとに付けます。
金額で経路を分けていれば、30万円以上の経路の課長のステップにだけ付けられます。
1つの経路を複数の書式で共有している場合は、条件がその経路を使う書式すべてに効く点も先に見ておきます。
購買稟議と経費精算が同じ経路を使っていれば、購買のために付けた条件で、経費精算の課長のステップも外れます。
兼務が解けたあとに残る設定
ステップを外す設定は、後任の課長が着任しても自動では外れません。
申請者の所属を条件にしていれば、後任の着任後も、営業第二課の30万円以上の稟議では課長のステップが外れたままです。
役職から引く承認者は、組織図で後任の所属と役職が登録されると、後任に入れ替わります。
一方で、ステップを実行しない条件が見ているのは人ではなく所属です。
一部の金額区分だけが届かないため、後任の課長の画面では目立ちません。
外す設定を入れるときは、戻す段取りも一緒に決めておきます。
経路を版で管理できる製品なら、着任日が決まった時点の最新の版を元に、営業第二課の条件だけを外した版を作り、着任日に切り替わるよう予約できます。
兼務前の版へ戻すと、兼務中に入れた他の変更まで消えるためです。
着任日が決まらないうちは予約を入れられません。
人事から後任の発令の連絡を誰が受け、誰が版を作るかを、条件を入れる時点で決めておきます。
兼務中に出された申請は、申請した時点の経路のまま進む作りがあり、その場合は版を切り替えても課長のステップは外れたままです。
差し戻して再申請すると、そのときの経路で承認者を引き直す作りもあります。
切替日をまたぐ申請の扱いは、ワークフローの組織変更、当日に残る作業は2つに分かれるで扱っています。
まとめ
兼務の発令を受け取ったら、まず金額で分けた経路ごとにシミュレーションして、重なりが出る書式と金額区分を洗い出します。
次に、規程に兼務時の条項があるかを所管部門に確かめます。
ステップを外すと決まったら、残すステップと一緒に、後任の発令の連絡を受けて条件を外す担当を決めておきます。
この記事の整理が、兼務の発令を受けたときに見る順番を決める手がかりになれば幸いです。
よくある質問
課長が別の課の課長を兼ねる場合も、ステップを外す設定が要りますか
横の兼務では、1つの申請の経路に同じ人が2回出ないため、ステップを外す設定は要りません。
2つの課の申請が1人の画面に集まる形になります。
気にするのは件数と不在時の扱いのほうで、ステップのまとめ方とは別の論点です。
ステップを外していた期間の申請について、何を残しておけばよいですか
兼務の発令日と解除日、どの経路のどのステップを外したか、規程の条項の有無と判断した部門の3つです。
申請の記録に並ぶのは承認の操作で、どの部門がなぜ外すと決めたかは入りません。
経路の版ごとにメモを書ける製品なら、条件を付けた版と外した版の両方のメモに書いておく形も取れます。
兼務が年度をまたいで続くとき、どこを見直しますか
2回押してもらう形を、兼務が短い見込みで選んでいたなら、その手間をいつまで続けるかを所管部門と見直します。
ステップを外していたなら、規程改定で金額区分が変わったときや組織変更のときに、条件を付けた経路と決裁者の位置がずれていないかを見ます。
組織変更で所属のコードが変わると、条件に入れた所属が新しい組織に引き継がれず、警告なしに外れる製品もあります。
組織図を切り替える前に、条件に入れた所属がどの経路で使われているかを見ておくと、外れた条件に気づけます。