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導入事例について
営業担当から詳しく聞く学校法人東京女子医科大学

抱えていた問題点 | ・紙の申請運用が多く煩雑で、申請書の所在把握に時間を要したり、承認遅延が発生したりしていた |
|---|---|
導入の理由 | ・各部署が自由にワークフローを作成できる柔軟な権限設計 |
導入効果 | ・各部署によるワークフロー作成の推進 |
宮田様:東京女子医科大学は、女性が医学を学び、社会に貢献できる場として1900年に創立者・吉岡彌生先生が設立した「東京女醫学校」を母体としており、2025年で125年を迎えます。弊学の理念は「至誠と愛」であり、「きわめて誠実であること」「慈しむ心(愛)」は、教育・研究・診療のすべての場において求められています。
私たちは情報システム課に所属しており、大学および附属病院を含む法人全体のシステム運用を担っています。情報システム課の組織には、各附属病院の病院情報システム室や大学の教育研究情報システム室も所属しており、横軸での連携と全体最適化を重視しています。
正職員は11名、業務委託や附属病院のヘルプデスクの方々を含めると30名ほどの体制です。日々のシステム運用管理だけでなく、DX推進や新しいシステム導入の企画、ネットワーク・セキュリティ対策など多岐にわたる業務に対応しています。


宮田様:以前から、学内では「紙の申請書を電子化したい」という声が多くありました。紙の申請書の所在がどこにあるのか分からなくなることがあり、現場からも電子化の要望が多く挙がっていました。
そこで、2023年4月のIT戦略会議で情報システム課から「全学共通のワークフロー導入プロジェクト」を提案して本格的に動き出しました。
宮田様:実は、今回のプロジェクトの前にも、何度かワークフロー導入を検討したことがありました。2012年から2016年頃で、稟議書のみの電子化を目的とした取り組みでした。承認経路とシステム運用が複雑だったこともあり、当時は途中で頓挫した、と聞いています。
長谷川様:弊学は医科大学という特性上、大学・病院・附属施設と多様な組織を抱えていて、階層構造も複雑です。そのため、弊学独自の条件分岐や運用をすべて実現しようとすると、一般的なパッケージシステムをそのまま利用することが難しく、カスタマイズ等も検討した結果、想定コストが高くなってしまったことも頓挫した理由の1つですね。
山﨑様:その経験を踏まえて、今回は考え方を大きく変えました。既存の運用にあわせたシステムのカスタマイズはおこなわず、システムにあわせて運用を整理することを前提としました。また、電子化のターゲットは特定の書式に絞らず、法人内のあらゆる書式について、各部署がワークフローを作成・利活用できる構成を目指しました。一方で、最初から全ての申請を電子化しようとせず、申請項目や承認経路が単純かつ、誰もが使う日常的な申請からのスタートを検討しました。シンプルな申請から段階的に拡大していく方針にしたことで、現場もスムーズに受け入れられると考えたのです。

長谷川様:ワークフローシステムの選定を本格的に始めたのは2023年の秋頃です。まずは市場にある主要なワークフロー製品を幅広くリストアップしました。そのうち、大規模向けのワークフローについて、kickflow含め約10社前後を詳細に調査し、6社から提案を受け、一次スクリーニングを進めていきました。3製品にまで絞り込んでトライアルを実施し、最終的な製品を選定しました。
この時点では、クラウド・オンプレ問わず、幅広くシステムを比較しました。弊学ではクラウドシフトを進めており、ワークフローにおいても基本的にはクラウド製品を中心に検討を始めたのですが、全教職員6000IDでの利用を想定すると、ID課金が主流のクラウド製品ではコストが高くなることが懸念されました。その点、オンプレミス製品は、導入費、ランニング費用を鑑みても比較的低コストで運用が可能であったため、まずはクラウド・オンプレ問わずフラットに製品比較を進めました。
山﨑様:検討を進める中で、私たちは4つの選定軸を設定しました。
1つ目は「複雑な申請に対応できること」。弊学の組織構造上、複数部署・施設を横断して承認が必要となるケースや、申請者の所属により承認者が分岐するケースも多く、ある程度の承認経路の複雑化は避けられません。カスタマイズはおこなわないからこそ、システムの標準機能として柔軟な分岐設定ができることが必須でした。
2つ目は「学内の各部署に管理を含めたシステム権限を渡せること」。情報システム課がすべてを集中管理するのではなく、各部署が自ら申請フォームを作り、運用できる体制を目指しました。
3つ目は「現場が迷わず使えるUIであること」。各部署や全職員が日常的に利用することを前提に、利用者はもちろん、権限を渡した先の管理者が直感的に操作できることが重要でした。
そして4つ目は「営業や会社としてのレスポンスの良さ」。導入後も長期的にサポートしてもらえる誠実さを重視しました。

長谷川様:一次スクリーニングとしては、40項目ほどの要件定義書を作成し、各社に回答いただきながら評価を進めていきました。要件定義書はプロジェクトメンバーが中心となって、既存運用を確認しながら学内の要望を取りまとめて作成しました。各社の回答や個別打合せでのQAを参考に製品の絞り込みを行い、最終製品はトライアル環境で検証することを念頭に置いて進めていきました。
山﨑様:例えば、製品Aは高機能で複雑な承認ルートにも対応可能でしたが、ワークフローを作成するには専用のツール(ソフトウェア)をインストールする必要があり、端末ごとのライセンス課金制でした。製品の学習コストが高いという点も加わり、各部署が自由にフォームを作って運用するという方針とは合わず、運用負荷とコストの両面で現実的ではありませんでした。
製品Bは、価格面で魅力がありましたが、部署ごとに管理権限を割り振る仕組みがなく、全体を一括で管理する構成になっていました。そのため、現場ごとに自律してフォームを作り改善を進めるという理想像とは方向性が異なりました。
山﨑様:こうした一次選定を経て、「製品C」「製品D」「kickflow」の3製品を最終候補に絞り込み、実際にトライアルを行いました。
長谷川様:それぞれの製品のトライアル環境を実際に操作して、使い勝手や機能を比べました。各製品で1つずつワークフローを作成し、それに伴うユーザー登録や部署役職などを設定して、操作性などの所感を持ち寄りました。
「製品C」は、他サービスとの連携や承認経路の分岐設定の自由度が高かったのですが、管理権限を部署単位で分割する運用が難しい点が懸念に上がりました。全体を情報システム課が集中管理する体制には向いていましたが、現場主導での運用にはやや複雑さが残る印象でした。
長谷川様:「製品D」は、オンプレミス向けの製品をクラウド(AWS環境)上でも構築可能という技術的な選択肢の広さと、他大学での導入実績が魅力でした。特に、オンプレ製品として導入が可能な点から、比較的安価に導入できる選択肢として残りました。ただし、実際に触ってみた感触として、やりたいことにたどり着くのが難しく、直感的に操作できるUIとは言い難かったです。UIや操作性の観点から見ると、職員全員が日常的に利用するツールとしては少しハードルが高いと感じました。
山﨑様:「kickflow」は、最初に触ったときから非常にUIが分かりやすく、誰でも迷わず使える印象でした。承認経路の分岐設定も柔軟で、附属病院を含む複雑な組織構造にも対応できました。部署ごとに管理権限を委譲することも柔軟にでき、各現場が自分たちでフォームを作成・運用できる点も魅力でした。
また、kickflowの営業担当の方をはじめ、対応が非常にスピーディかつ丁寧で、要望へのレスポンスが早かった点も好印象でした。
唯一、管理者側の細かい機能が少しだけ物足りない印象でした。ただ、トライアル中に「ユーザー情報をCSVで一括更新したい」という要望を出したところ、すぐに標準仕様として改善対応いただけました。このスピード感と柔軟な対応力は他社にはなかった強みで、どんどん使いやすくなっていくのかと期待が持てました。
4つの選定軸――「複雑な申請対応」「権限委譲」「UIのわかりやすさ」「営業レスポンス」――の全てを高い水準で満たしており、長期的に運用できる最適なシステムだと判断しました。

山﨑様:2024年7月にkickflowを正式導入しました。そこからおよそ6ヶ月をかけて、情報システム課のメンバーが中心となり、学内リリースに向けた準備を進めていきました。
冒頭にも述べましたが、我々の導入プロセスは、ユーザー数を全職員に広げたうえで、簡単な申請書から段階的に電子化を始めるという方針で進めました。
長谷川様:大学全体で200種類近くの申請様式がありましたが、まずは人事課、経理課、総務課、施設課、情報システム課などいくつかの部署に声をかけて、全学での運用開始に先行してワークフローの作成などシステムの運用を始めてもらいました。学内リリースまでに、シンプルな11の申請手続きを電子化することができました。
リリース後は、上記の申請様式の運用を通じて、学内での利用体験を蓄積しつつ、計画通り徐々に申請様式を追加していっています。
全学に向けた説明会は、全教職員向けに1回実施したほか、申請の電子化を検討している部署向けのウェビナーも開催し、イントラネットに作成した専用サイト上に動画も公開しました。また、電子化に一歩踏み出せない部署に対しては、こちらから声をかけて個別に説明をおこないました。
山﨑様:申請をするユーザーは各種申請手続きの電子化を待ち望んでいました。しかし、申請を管理する部署は、少なからず移行作業や運用変更の負荷が発生するため、日々の通常業務がある中で、なかなか申請書の電子化に時間を割くことができないのが実情でした。
リリース後は、申請ユーザーからの要望も後押しとなり、少しずつ電子化の動きが広がりつつあります。まずは簡単な申請からでもkickflowを実際に使ってみて、利用者だけでなく管理者側にも電子化のメリットがあることを実感してもらうことで、利用者と管理者の双方から電子化の流れが加速していくのではないかと考えています。

山﨑様:200種類近くの申請様式に対しての電子化が徐々に進んでおり、それにつれて利用率が向上しています。
宮田様:特に情報システム課の申請は活発ですが、病院の掲示物申請も同様に活発で、kickflowのコメント機能を活用したやり取りが出てきているのが特徴です。例えば、患者様向けの表現について具体的に修正指示や見解を決裁者がコメントするなど、単なる決裁だけでなく、コメントでのやり取りが可視化され共有されることで、建設的な議論が促進されるという効果も生まれています。
また、実際にkickflowを使い始めたユーザーからの声として、「これもkickflow化してほしい」と他の部署に伝えている事例が少しずつ出てきており、現場主導での電子化が広がる手応えを感じています。
このワークフローの導入は、法人全体に関わる大規模プロジェクトの一つとして動いており経営層からも評価されている状況です。
紙の届出や申請書の電子化で業務の運用も見直され、多くの課題解決が進む見込みです。

宮田様: 医療DXや働き方改革の流れの中で、医科大学や病院でも業務効率化やペーパーレス化への期待が年々高まっています。
私たちは、現場の課題意識を起点に、IT戦略会議という場で経営層と丁寧に対話を重ねながら、ワークフローシステムの新規導入に踏み切ることができました。
ボトムアップのプロジェクトにトップダウンの視点を重ねることは、導入時の意思決定やコストを伴う決裁の場面においても、そしてその後の運用や定着においても、非常に重要だと感じています。
長谷川様: 東京女子医科大学での導入事例や運用の工夫については、ぜひ積極的にご紹介していきたいと考えています。
現場の声をどう拾い上げたか、学内合意形成のためにどのような説明を行ったか、そして導入後の定着に向けた取り組みなど、実際のプロセスを通じて得られた知見は、同様の課題に直面されている皆様にとって参考になる部分も多いかと思います。
ワークフローシステムの導入は、単なるツール選定ではなく、組織の働き方や意思決定のあり方を見直す機会でもあります。ご関心のある方は、ぜひお気軽にお声がけいただければ幸いです。
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