2025/03/25
組織・ガバナンス

こんにちは。シンプルなのに多機能で圧倒的に使いやすい、クラウドワークフロー「kickflow」のメディア運営チームです。
企業が効率的に事業を進めていくためには、職務権限を設定し、各組織・職位の役割や責任を明確にする必要があります。
職務権限は一般的に職務権限規程などの名称で社内規程として定めますが、職務権限規程はどのように作成すればよいのでしょうか。
今回は、職務権限規程の概要や作成方法、作成におけるポイント、効率的な運用方法について詳しくご紹介します。
職務権限とは、組織内の各職位に対して割り当てられた業務遂行の範囲と責任を指すものです。たとえば、人事部の職務権限として、採用グループには主に人材採用に関する業務全般を、給与グループは給与関連や福利厚生、企業年金などの業務を担当する、といった形で割り当てを行います。
職務権限の設定により、各組織の役割を明確化し、業務の重複や漏れを防ぎます。また、業務の遂行を円滑化し、組織全体の効率向上を実現します。
職務権限規程とは、具体的な職務の範囲と必要な権限、責任を明示するための文書のことです。職務権限規程により、組織内の職務権限を定義します。
職務権限規程により職務権限を定めることで、特定の人物による独断的な決定や同一内容を複数人が判断するような事態を防ぎます。役割や権限が明確になっていないと、声の大きい一部の人の意見で意思決定が行われたり、決定すべき事項に対して社内で意見がまとまらず意思決定が遅れたりといった事態になりかねません。
職務権限規程により組織内の責任を明確化することで、このようなリスクを低減し、ガバナンスの強化を図る必要があります。
なお、職務権限規程の作成については法令で義務付けられておらず、作成自体は任意のものです。ただし、リスク管理やガバナンス強化の観点から、職務権限規程は多くの企業で作成されています。
職務権限規程には、大きく各組織・職位の「職務」と「権限」「責任」を記載します。
職務権限規程に記載すべき内容や具体例は以下のとおりです。
項目 | 記載内容 | 具体例 |
|---|---|---|
職務 | 各組織・職位が担う役割と業務内容 | 人事部教育研修グループの職務 |
権限 | 各組織・職位が決定・承認する項目 | 人事部の権限 |
責任 | 各組織・職位が負う責務の範囲と内容 | 各職位の責任 |
職務権限規程は以下の流れで作成・更新します。

職務権限規程のベースとなるのは、現状の組織と職務です。まず、本店、工場、営業所など、社内の全拠点における組織を網羅的に把握し、現状の組織図として可視化します。
さらに、各組織が担当する職務を洗い出し、その役割やプロセス、責任、重要度などを詳細に整理していきます。
現状の組織と職務をベースとして、各組織に対して職務を割り当てていきます。現状の組織や職務に重複がある場合、重複している職務を調整し、担当すべき組織へと割り当てます。また、実施すべき業務がどの組織でも対応されていない場合や、事業戦略や事業計画を踏まえて新たな業務が発生する場合には、新たな職務を設定のうえ、実施すべき組織へと割り当てます。
職務の割り当てにおいては、必要に応じて組織の見直しも行うこととなります。現状の職務が重複している組織がある場合には、組織を統合します。また、現状のどの組織でも担当しにくい職務がある場合には、組織の新設を行います。
各組織・職位が負うべき責任に対して適切な権限を割り当て、職務遂行に必要な意思決定の範囲を明示します。
権限の割り当てにあたっては、組織間での重複や漏れを避けるため、明確な表現で文書化することが重要です。曖昧な表現や不明確な表現で権限を割り当ててしまうと、運用を開始した後に問い合わせが頻発したり、誤った解釈に基づいた決定がなされてしまったりといった事態が発生します。
また、決定・承認の権限に加えて、関連する組織を合議先として追加する、もしくは情報を共有すべき部署は通知先として設定することも検討します。これにより、複数組織が関連する業務を進めやすくなります。
新たな職務権限規程に則って業務を遂行できるように、運用の準備を行います。運用開始にあたっては、たとえば以下のような作業が発生します。
既存の規程やマニュアルと整合性を持たせるために、関連する規程をチェックし、必要に応じて改訂を行う。
社内の規程類は新たに設定した職務権限規程に応じて、作成・管理の担当組織を変更する。
ワークフローを導入もしくは更新し、新たな職務権限に合わせた承認プロセスを実現できるようにする。
そのほか、職務権限規程の作成や見直しによって、業務分担も変更されます。組織間での業務引き継ぎなどの対応も必要となります。
職務権限規程は継続的な見直しが必要となるものです。新事業への参入や組織の変更、業務の見直しが発生した場合には、職務権限規程を変化に合わせて修正します。
新たな業務や職務が発生した際には迅速に規程に反映させることで、不明確な職務や権限、責任を可能な限り排除することがポイントです。
そのほか、特段新事業の参入や組織変更などが発生しなかったとしても、年次など定期的に職務権限規程の見直しを行うことも重要です。実際に職務権限規程に沿って決裁や業務を実施したところ、業務の遂行や承認の取得において判断がつきにくいという事態も発生しがちです。記載の不備や曖昧な表現があれば、定期的な見直しにより改善していきます。
ここでは、職務権限規程を作成する上で知っておくべきポイントをご紹介します。
権限の設定においては「曖昧過ぎず」「具体的過ぎず」適切な抽象度で記載することがポイントです。
権限があいまいだと、誰が何をしてよいのか判断できず、職務権限規程の管理部署への問い合わせが頻発します。一方で権限が具体的すぎると、権限規程の記載事項が大量となりメンテナンスに苦労したり、権限の重複が発生するなど整合性をとるのが難しくなったりします。
もちろん、最初から完璧な抽象度で職務権限規程を作成することは難しいといえます。前述した定期的な職務権限規程の見直しを通して、適切な抽象度となるように調整していくことをおすすめします。
職務・権限の割り当てにあたっては、各事業の特性を理解し、その特性に合わせて設定することがポイントとなります。具体例としては以下のとおりです。
海外部門においては各地域の地政学リスク度合いに応じて投資の金額基準を厳密にし、小規模投資においても経営層の承認を求めるなどハイリスク投資を抑制できるように職務や権限を割り当てる。
ITに関する権限はIT部門に割り当てつつも、システムを前提とした新規事業を行う部署には一部の権限を付与し、スピード感を持ったビジネス展開を実現できるようにする。
職務権限規程の作成にあたっては全体の整合性を取ることも重要ですが、このように事業の特性に応じて調整を図っていく必要もあります。
上位職位者から下位職位者へ権限移譲を行うことで、スピード感のある意思決定を実現できます。特に企業の規模が拡大すると、権限移譲を意識した職務権限規程の作成がポイントとなります。
具体例としては以下のとおりです。
たとえば100万円以下の支出については部長決裁とするなど、金額での条件を設ける
基本方針に基づく個別業務や重要度が低い案件については下位職位者により判断する
このように、権限移譲により一定の判断を下位職位者に任せることで、上位職位者への権限集中を避け、事業のスピードを上げられます。
権限移譲と併せて「権限委譲」の活用も検討します。権限委譲とは、本来の権限者の判断により、権限者が責任を持ちつつも下位役職者に権限を委譲することです。
職務権限規程にて権限委譲を許可する範囲を定めておくことで、職位者の判断により権限を委譲できるようにします。たとえば以下のとおりです。
100万円以下の支出については部長決裁とするが、発注件数の多い部においては各部の判断で副部長や課長へ決裁権限を委譲することができる。
海外出張の承認は通常部長決裁だが、出張が多い組織においては副部長や課長が決裁できるように権限を委譲できるようにする。
このような権限委譲の仕組みにより、各現場の状況や特性に応じて柔軟な判断ができるようになります。
根回しは仕事をうまく進めるために必要な業務ではありますが、過剰な根回しは意思決定の遅れの原因にもなりかねません。
業務上、あらかじめ根回しとして内容を説明しておくべき部署があるのであれば、職務権限規程上にも「合議先」や「通知先」などとして明記するとよいでしょう。
職務権限規程で「組織運営のために必要な根回し」を明確化することがポイントです。
職務権限規程の作成・見直しと併せて検討したいのが、決裁を行うための手段についてです。
一定規模の企業であれば紙や押印で決裁することも不可能ではありませんが、業務負荷の軽減やテレワークの実現などの観点から、ワークフローシステムの活用による効率化を検討すべきでしょう。

ワークフローシステムとは、組織内での承認プロセスを電子化するためのツールです。ワークフローシステムにより、各業務における申請から決裁までの一連のプロセスを効率化することができます。
また、申請や承認をPCやスマートフォン上から行えるようになるため、場所を問わず承認プロセスを実施することができます。テレワークが普及した現代においては、必須の仕組みといえるでしょう。
ワークフローシステムは一般的に申請フォームの作成や承認ルートの設定、代理承認など権限委譲への対応、他システムとの連携といった機能を備え、業務の効率化に寄与します。
職務権限規程の作成や見直しにおいてよくあるのが「社内のワークフローシステムが実現したい申請・承認プロセスに対応できない」というケースです。組織の規模が大きくなったことで、権限委譲や複数組織・役職の兼任など職務権限規程にて新たなルールやプロセスが定められ、既存のシステムが対応できないという場合もあります。
職務権限規程の作成や見直しにあたっては、現在利用しているワークフローシステムが新たな規程に対応できるかを確認してみましょう。職務権限規程を作成した後に、システム側が対応できないと分かると、システム対応のための期間により職務権限規程の運用開始が遅れてしまいます。
今回は、職務権限規程について詳しくご紹介しました。記事中でもご紹介した通り、職務権限規程の作成や見直しにあたっては、新たなルールに対応できるワークフローシステムの準備も必要となります。
当社では、申請や承認における圧倒的な使いやすさと機能性を両立する、クラウドワークフロー「kickflow」を提供しています。既存のワークフローシステムでは実現が難しかった複雑なワークフローにも対応。金額基準など条件指定による複雑な承認フローの実現や、代理設定による権限委譲対応、合議先や通知先の設定など、企業規模の拡大と共に複雑化しがちな職務権限規程にも対応できる機能が備わっています。
kickflowにご興味のある方は、お気軽に当社までお問い合わせください。
この記事の監修者
kickflowメディア運営チーム
クラウドワークフロー「kickflow」を提供するkickflowのメンバーが、稟議・申請・承認といったワークフローに関するテーマのコンテンツをお届けします。
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